長期化しているコロナウィルス感染症COVID-19の影響で,世界の社会・経済が過去に経験したことがない難局に直面しています.改めてこのような状況下で懸命に努力くださっている医療従事者の方々を始め,社会を維持していくための活動をつづけておられる多くの方々に対して心より感謝を申し上げます.
現在国内では,政府による緊急事態宣言が解除となり休業要請も緩和され,ホテルの大規模集会場も営業再開できるようになりました.最終的にCOVID-19に対する有効な薬が承認され,治療が効果的になり,人々の安心感が高まる収束の時期までは,フィジカルディスタンスへの配慮やイベント参加人数についての制約のもと,事業を継続し,雇用を維持していくことが最重要課題と考えます.
緊急事態宣言中,神戸ポートピアホテル(以下、当ホテル)では,ゴールデンウィーク中の宿泊予約停止やレストラン等の休業を行い,感染拡大防止に努めました.また当ホテルの客室からハートマークでのライトアップ(写真)で応援メッセージを発信したり,テイクアウトやドライブスルーなど新たなサービスにもチャレンジしました.また,出勤者の抑制に加えて時差出勤や車通勤,Web会議の活用など,新たな働き方の経験を得ることができました.
アフターコロナの時代に向け,今後も感染予防は継続し,フロントカウンターなどの飛沫感染防止シールドの設置やエレベーターの人数制限,従業員の健康管理など,これまで以上に安全対策を実施してお客さまをお迎えいたします.
コロナ禍の極度の緊張から緩和する時期のお客さまの需要,ご期待にお応えする営業活動を徐々に進めていきます.この“新ノーマル”な環境を認識し,法人や団体のお客さま向け商品では,テレワークを応援するプランや,多くの人が集まって行う国際会議や学術会議,イベント等は,リアルな参加者とオンラインとの組み合わせで開催するハイブリッド会議で本来の会議やイベントの目的を実現できるよう提案します.神戸の都市機能のひとつとして隣接している医療産業都市とも,より連携を深めて安全な環境での開催をデザインしていくことによって社会や経済に貢献していきたいと考えています.
プライベート向け商品では,当ホテル内にある数多くの空間を活かして,新生活様式にそった宿泊プランやお食事の提供,テイクアウト・デリバリー事業の拡大,Webセミナー開催など,お客さまのニーズを追求します.神戸は,海や山などの自然環境や食文化も豊かであり,神戸空港などの交通拠点が整った場所でもあります.神戸にある多くの魅力や特徴も活かしながら,従来は海外旅行へ向いていた消費意欲を国内旅行へ向ける独創的な商品を迅速に打ち出すことも必要と考えます.
当ホテルは本年,開業40年の節目の年を迎えました.50年・100年企業は,必ず厳しい時を乗り越えてあきらめずに変化に対応しながら企業の歴史をつくるものと思います.この事態も将来振り返った時に,厳しい試練を乗り越えた歴史のひとつになると思います.そして,今後このような危機が訪れた時にも対処できるよう今回の体験を必ず活かします.
著者紹介
中内 仁(なかうち ひとし)
株式会社 神戸ポートピアホテル 代表取締役社長.https://www.portopia.co.jp/