はじめに

2019年末,中国の武漢市で原因不明の肺炎がWHOに報告されて以来,新型コロナウィルス(以下COVID-19という)の感染拡大は,世界規模で経済,社会,文化といった人間社会のあらゆる側面にかつてない影響を及ぼしている.感染拡大を抑制または遅延させるための公衆衛生戦略では,「社会的距離戦略(ソーシャル・ディスタンシング)」がとられ,国民,企業の活動を強制的に制限する「都市封鎖(ロックダウン)」の措置を講じる国・地域も相次いだ. 

COVID-19の世界的な流行は,2020年3月末までにほとんどの国の旅行制限に拡大した.都市の国際線到着後の検疫,自主隔離など前例のない対応と,この感染症が未知の領域であり,その不可解さは,社会,経済活動の予測を困難なものにしている.

我が国では4月7日,7都府県を対象に緊急事態宣言が発令され,同月16日に対象が全国に拡大,国民に不要不急の外出自粛が要請された.その後,5月25日に緊急事態宣言が解除され,大きくダメージを受けた観光業を支援しようと国は7月から「Go Toキャンペーン」を開始したが,11月末には感染拡大に見舞われ,年末年始は,全国的に活動の自粛要請に至っている.

かかる状況下において,感染拡大当初から各国政府,国連機関,学術団体,民間の調査機関などさまざまな組織が,医療,観光等に対するCOVID-19の影響を測る調査を実施し,今後の経済的な予測を試みている.  

世界最大の閲覧数をもつ旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」は,4月に過去12ヶ月に旅行を経験した,旅行の意思決定者に対して世界6カ国での調査を行った.その結果,旅行先を決める上で最も重要になることとして,日本やアメリカの旅行者は「感染者数の低下」を挙げた.宿泊施設に対して,日本では特に「個室での食事(43%)」を求める声があり,これは他5カ国で最も高い水準となった.日本人の意識から,今後の旅行に対しては61%の回答者が「1年以内には旅行に出たい」とし,34%が「今後6ヶ月以内に近場で旅行をしたい」と考えていた.また,旅行先を決める上で今後重要になる点は,その地域における感染状況(54%)や密を避けられる環境(52%),地域単位で公衆衛生に取り組んでいること(42%)が重要とされた.COVID-19感染拡大以降,消費者の4分の3以上(80%)は,家族と一緒に旅行する可能性が高く,3分の2近く(60%)は,1人か2人の友人と一緒に旅行する可能性が高いと述べていた.国内旅行の目的地もリラックスして人が少ないと感じる目的地が好まれる傾向であった.消費者は,感染拡大前と比較して,リラックスできる旅行をしたいと思う可能性が218%高く,3分の2近く(59%)が,COVID-19以降は人気のある目的地よりも人里離れた場所に行きたいとしている.

JTB・JTB総合研究所(2020)の調査では,国内旅行に「早く行きたい」と考えているのは,男女29才以下の若者.性別では男性が高い.女性60才以上は,旅行意向はあるが,どの旅行も「しばらく行きたくない」が他より高い.旅行意向は高いものの,旅行再開は慎重.「すぐ行きたい」の割合が高いのは,「知人訪問」,「自然が多い」,「帰省」,「居住都道府県内の旅行」であった.旅行の計画を阻む理由は感染症への不安以外に,「世間体が悪い」,「旅行先の情報が少ない」が増加.旅行の再開には,新型コロナ自体の解決を待つ気持ちが強い.「治療薬やワクチンが完成し効果が出る(45.6%)」,「全国の緊急事態宣言の解除(43.8%)」などである.一方,デジタル化に加え,3密の回避などの新しい生活様式(ニューノーマル)も広がったとしている.消毒やマスク着用といった衛生管理や3密の回避は8割以上が継続すると回答している.従って,観光においても,新しい生活様式に基づいたあり方の確立が求められる,とした.

ヴァリューズ(2020)は,6月に行った一般ネットユーザーの行動ログと属性情報を用いたマーケティング分析から,既存の旅行業のサイト訪問数が対前年同月に比べ大幅に減少し,オンラインエージェントや航空会社,鉄道などのサイトが上位を占めたとした.ただ,緊急事態宣言解除後,旅行サイトへの訪問者数が大幅回復,国内旅行予定者の6割以上が越境での旅行を希望し, 夏の旅行予定者の4割以上が定額給付金を旅行に使用予定していた.感染の影響が長期化するなかでも,消費者の旅行意欲は依然高いと思われる.

研究の背景

1945年以降国際観光の拡大は,順調に推移してきたが,その過程において破壊的な出来事は幾度となく発生してきた.9月11日の米国におけるテロ攻撃(2001年),重症急性呼吸器症候群(SARS)の発生(2003年),2008/2009年に発生する世界経済危機,2009年のH1N1のパンデミック(WHO, 2009),2015年中東呼吸器症候群(MERS)のアウトブレイクなどである.しかし,それらのどれもが観光の世界的発展の長期的な衰退につながったわけではなかった.SARS(-0.4%)と世界経済危機(-4.0%)のみが,国際到着の減少につながった(The World Bank 2020a,2020b).これは,システムとしての観光が外部からの衝撃に強いことを示唆している(Gossling Scott and Hall 2020, 3).

Zengら(2005)の2003年中国で発生したSARSの観光への影響に関する研究では,25–70%の急速なインバウンドの減少,国内旅行の50–90%の減少,回復には,3–7ヵ月かかったと報告されているが,グローバル規模で拡大した今回のCOVID-19の感染拡大は,観光体験の2つ重要な条件である人々の動きと相互作用が完全に制限され(Burini 2020),観光地の脆弱性が改めて浮き彫りになった点で大きく異なっている.

世界観光機関(2020)によると,2020 年初からの8か月間で国際観光客到着数が70%減少している.中でも7- 8月における国際観光客到着数は,7 月が 81%,8 月が79%とそれぞれ激減した.8 月までの減少は,2019 年の同時期に比べて 7 億人少ない到着数で,国際観光からの輸出収入における 7,300 億米ドルの損失へとつながった.これは,2009 年の世界経済・金融危機の際に受けた8倍以上の損失とされる.  

このような背景から,今後感染が収まる,あるいはワクチンが普及する環境下で,消費者行動を予測し,回復に向けて対策を打つことは大変重要と思われる.

そこで,本研究では,感染が収束に向かう中,消費者が国内旅行を計画し,行動に移すかどうかを予測し,今後の地域観光の可能性を探ることとする.

先行研究

計画的行動理論

計画的行動理論(Theory of Planned Behavior:以下,TPBとする)は,特定の時間,場所での行動の意図を予測するため,合理的行動理論(Theory of Reasoned Action: 以下,TRAとする)として1980年に始まった.この理論は, 人は全ての行動に自制心を発揮する能力を持つことを説明することを目的(LaMorte 2016)とし,TPBはTRAの拡張(Ajzen 1991)とされる.

TPBのモデルの主要な構成要素は行動の「意図」であり,行動が期待する結果をもたらす可能性に対する「態度」と,結果がもたらすリスクと便益についての「主観的規範」に影響される.例えば,コンサートに行くという目標に向かって計画をたて(習慣的あるいは日常的なためにほとんど認識していないが)それを実行していく.行動は意図によって制御されるが,すべての意図が実行されるわけではない.完全に放棄されるものもあれば,状況の変化に合わせて修正されるものもある(Ajzen 1991, p1).意図と行動の関係,つまり目標と計画が行動を導く方法と人々が意図を変更したり,行動の実行を妨げたりする要因を調べるのである.図1はTPBの理論の構造(先行変数に対する影響は省略)で,Ajzen(1991)によるとこのモデルは下記の潜在変数で構成される.

①態度:個人が関心のある行動に対してポジティブ,ネガティブな評価をどの程度持っているかを示す.

②意図:特定の行動に影響を与える動機付けの要因を指す.行動を実行する意図が強いほど,行動が実行される可能性が高くなる.

③主観的規範:社会的要因で行動を実行するかしないかの認識された社会的圧力を指す.

④知覚された行動制御:関心のある行動を実行することの容易さまたは困難さに対する人の知覚を指し,過去の経験と予想される障害及び障害を反映すると想定される.

原則として主観的規範が有利であるほど,また行動制御が大きいほど検討中の行動を実行する個人の意図が強くなるはずである.

⑤意図:行動に影響を与える動機付けの要因を捉えると想定され,行動を実行するために,人々がどれだけ懸命に努力するか,どれだけの努力をすることを計画しているかを示している.


図1 The Theory of Planned Behavior(Ajzen 1985)
出所:Ajzen(1991)p.182 Fig. 1より筆者加工

以上のことから,Ajzen(2002,p.665)では,意図は行動の直接の先行要件であると想定されている.

一方,このTPBは,いくつかの限界がある.例えば,意図に関係なく,その人が望ましい行動を実行するのに成功する機会とリソースを獲得していることを前提としていること,恐怖,脅威,気分,過去の経験など,行動の意図と動機付けに影響を与える他の変数は考慮されていないことが挙げられる.また,個人の意図に影響を与える可能性のある環境的または経済的要因も考慮されていない(LaMorte 2016).

そのため,TPBの基本形に加え,肯定的感情と否定的感情を加え,欲求,を行動意図の先行要件として設定し行動意図に影響を与えるモデルが示されている.TPBの有用性を改善するために試みられたPerugini and Bagozzi(2001)によるこの拡張モデルでは,欲求が,態度,主観的規範,知覚された行動制御,および意図に対する予想される感情の影響を媒介したことを示している.彼らは,動機づけのプロセスの観点から意思決定の形成を説明する上で重要な要素として欲求が示唆された(Perugini and Bagozzi 2001)

現在もTPBは,喫煙,飲酒,医療サービスの利用等,さまざまな健康行動や意図を予測および説明するために使用され,旅行者の意図や行動を理解するため先行研究でも拡張したモデルが見られる.また,公衆衛生において有用性が高いことが示されており,過去数年にわたって,研究者らはTPBのいくつかの構成要素を使用し,行動理論から他のコンポーネントを追加している.その結果,Ajzen(1991)のTPB は健康関連の介入に最も多く用いられている理論(Armitage and Connor 2001)となっている.なお,TPBにおける行動のパフォーマンスは,適切なリソースの存在と,お金,時間,知識などの行動に対する障壁を制御する能力に影響される(Ajzen 1985).個人が知覚するリソースが多く,障害が少ないほど,知覚された行動制御は大きくなり,行動を実行する意欲を強くする(Ajzen and Madden 1986)ともされている.

パンデミック

世界的な感染拡大下における観光関連の先行研究について述べる.Godwinら(2011)の研究では,パンデミックリスクの知覚に関し,これまでは認知リスクの判断に焦点が当てられていたが,感染初期の「感情的な」懸念もパンデミックの脅威に対する行動反応の重要な予測因子であることを示した.

Lauら(2010)は,H1N1(パンデミック2009)流行の初期段階で香港住民の回避行動(外出,混雑した場所への訪問,病院への訪問の回避)を調査し,H1N1の発生により心配して感情的に苦しんでいる人は,他の人よりも回避行動をとる傾向や,回避行動の有病率が高いことを明らかにした.パンデミックインフルエンザに対する国際的な航空旅行者の知識,態度,実践についての研究は,Sharangpaniら(2011)によって行われた.海外で発生する仮想パンデミックインフルエンザのシナリオを提示し,海外で予想される防御行動を予測した.

2009年のH1N1パンデミックにおいては,海外旅行を検討している潜在的なアウトバウンド観光客がどのように行動するかについてはほとんどわかっていないとしてLeeら(2009)はPerugini and Bagozzi(2001)らが示した拡張モデルを用いて非医薬品介入が旅行の意図に及ぼす影響を提示した(図2).この論文では,観光の文脈で非医薬品介入(NPI)という概念を導入し,潜在的な国際観光客の行動意図に対するNPIの影響を明らかにしている.モデルの構成要素は,肯定的な感情と否定的な感情を加え,意図の先行要件として欲求を配置した.非医薬品介入変数は感染症予防を設定していた.

自然災害やパンデミックの状況で決定を下す際,多くの研究がこのモデルを基礎理論として使用して不確実な時期の消費者の購入意向を明らかにしていた(Daellenbach, Parkinson and Krisjanous 2018; Paton 2003).

図2 Leeら(2009)の目標指向行動の拡張モデル 出所:Leeら(2009)Fig. 1 を筆者翻訳・加工

旅行とリスク

先行研究において,観光客にとって安全とセキュリティは,重要な懸念事項(Poon and Adams 2010)であり,次のような項目が示されている.

  1. 戦争と政治的不安定性(Clementsand Georgiou, 1998; Gartner and Shen 1992; Hall and O’Sullivanら 2004)
  2. 健康上の懸念(Lepp and Gibson 2003; Carter 1998;Cossens and Gin 1994; Lawton and Page 1997);
  3. 犯罪(Brunt, Mawby and Hambly 2000; Dimanche and Leptic 1999; Pizam 1999; Pizam,Tarlow and Bloomら)
  4. テロリズム(Aziz 1995; Brady and Widdows 1988;  Enders, Sandler and Parise 1992; Leslie 1996)
  5. 自然災害(Faulkner, 2001)

COVID—19の発生以降,健康上の懸念は,旅行の実施に関して大きなリスク要因となっている.

旅行とリスクに関する初期の研究の1つで,Roehl and Fesenmeier(1992)は,消費者行動モデルを利用して,旅行の決定に関連する可能性のある7種類のリスク(Brooker 1983, Cheron and Ritchie 1982など)を特定している.彼らの研究に含まれるリスクの種類には,設備,経済的,身体的,心理的,満足,社会的,および時間的リスクが含まれていた.SönmezとGraefe(1998a,1998b)は,RoehlとFesenmeierが調査した7つのリスク要因に,健康,政情不安,テロのリスクを追加し,中年の経験豊富な海外旅行者では,観光が一般的に危険であると見なされていないことを指摘している.その結果,旅行者は目的地をより安全な代替に置き換えることや,影響を受ける地域の他の国への潜在的なリスクを一般化することなどの行動をとるようである.また,文化的な変化としては,米国の観光客は外国の目的地でより高いレベルのリスクを認識する可能性が最も高く,世界中の観光客が犠牲になると,メディアによる報道は特定の目的地に関連するリスクの認識を悪化させる(Richter 1983)と指摘されている.

旅行者の意思決定プロセスでは,旅行モードや目的地の選択に関係なく,最もリスクの認識が重要(Sönmez and Graefe 1998b)であり,目的地に関連するリスクの認識が高まるにつれて,観光需要が減少することを世界中の旅行統計が示唆している(Sönmez, Apostolopoulos and Tarlow 1999).また,将来の旅行行動は過去の旅行の満足度だけでなく,経験の程度(回数等)や規範にも影響を受ける可能性がある(Matzursky 1989)とされる.

消費者行動研究においてもサービス・マーケティングの研究においても消費者の知覚リスクが情報処理に与える影響は繰り返し指摘され,実証研究でも積み重ねられてきた(山本 2003,p21).例えば,高いリスクは情報探索を促進する(山本 2003, p21)とされている.デロイトトーマツコンサルティング(2020)の試算によれば,世界の情報伝達力は2002年のSARS(重症急性呼吸器症候群)流行時から68倍に拡大している.インターネットやSNS上には,情報が溢れ複雑化していることを認識する必要がある.

以上のことから,感染の懸念は,旅行者の意思決定上,重要な要素であることや目的地に関しては,安全であることを情報収集などで確かめることも目的地選択に関わる要素になると思われる.

仮説

まず,パンデミック下における既存の研究を参考に国内旅行に関する消費者の行動予測を第一の目的とする.本研究では,TPBを基本にしながら,海外渡航が不可能な状況下で,国内旅行という「行動意図」は,期待する結果をもたらす評価である「態度」,周囲の人がその行動を承認するか否かについての信念を指す「主観的規範」(いわゆる社会的プレッシャー),その行動を実行することの容易さ,または困難さに対する「知覚された行動制御」に影響を受けるコンポーネントで構成される.パンデミック禍の研究としてLeeら(2009)のモデルと尺度を参考にするが,潜在変数の「欲求」と「行動意図」,そして「旅行への態度」と「ポジティブな感情」の尺度の違いを日本語訳で明確にすることが困難と予想された. Ajzen(2002)では,態度は,全体的な評価をよく捉える肯定的及び否定的尺度を含めることを勧めていたことから,「旅行への態度」に代えて「旅行という行動に対する予想されるポジティブな感情」(以下ポジティブな感情)と同じく「予想されるネガティブな感情」(以下ネガティブな感情)を設定した.行動を実行することに対する予想される感情的反応は,意図の重要な決定要因(van der Pligt ら1998)とされている. 「欲求」は,Perugini and Bagozzi(2001)らの主張から行動意図に隠れている変数とされているが,本研究では採択せず「行動意図」を用いた.一方,Leeら(2009)が設定した「非医薬品介入」は,旅行中の個人の衛生状態を改善するための行動,疑わしい人や場所を避けるといった概念で用いられていた.本研究では,3密を回避する,手を洗う,消毒するといった「リスク回避行動」を採用した.また,高いリスクは情報探索を促進する(山本 2003, p21)ことから主体的に情報を収集したり,アクセスしたりできるかの「情報関与」を加えた.

調査概要

仮説モデルを検証するため調査を実施した.

■調査対象者 2017年以降に宿泊を伴う旅行へ行ったことがある方(ビジネス目的は除く)で首都圏,阪神圏を中心に在住の26-35歳/36-45歳/46-55歳/56-65歳]で各均等になるよう調整した計440名

■調査方法  Web調査

■調査期間 2020年10月12日~10月14日

■対象 インターネットアンケートモニター 440名

■目的 COVID-19の感染が落ち着いた時期に消費者の国内旅行に行くという行動意図の先行要件と人々が意図を変更したり,行動の実行を妨げたりする要因を明らかにすることを目的とした.

行動のパフォーマンスは,適切なリソースの存在と,お金,時間,知識などの行動に対する障壁を制御する能力に影響される(Ajzen 1985)ことから,質問項目には,世帯収入,旅行の経験(海外旅行の回数,過去の旅行先のタイプ,パンデミック状況下におけるオンライン,オフラインの旅行に関する活動)などを加えた.また,消費者の知覚リスクが情報処理に与える影響が,先行研究で指摘されていることから情報の関与度を測る質問とCOVID-19への予防行動の質問も加えた.

対象者に対し,新しい生活様式*¹の下,国内旅行に関する態度の質問,家族や友人が国内旅行に行くことに関してどのように感じているかの主観的規範の質問,現在感じる程度,今後国内旅行に行く場合の行動としての行動制御の質問,COVID-19に関する質問,国内旅行に対するポジティブな感情,ネガティブ感情の質問,行動意図を7件法でたずねた.また,2020年2月以降で試した旅に関する情報収集(TV番組,ビデオ,ガイドブック,YouTube,オンラインツアー)や過去5年間で経験した観光行動(都市観光,有名観光地訪問,テーマパーク等のレジャー施設利用,温泉地,田舎や農村訪問等)の選択を依頼した.加えて情報への主体的な関与度も質問した.

調査結果

対象者のプロフィールと行動

対象者プロフィールは表1に示すとおりである.

分析は,SPSSによるクロス集計,分散分析,AMOSによる共分散構造モデリングを実施した.集計結果から,COVID-19については,非常に恐ろしい病気であると, 大いに感じる人は,男性(17.7%)より女性(35%)が多く,50代・60代以上もそれぞれ31.8%で高齢になるほど多かった.感染を回避する行動について,旅行前に目的地の感染情報をチェックする(男性,旅行中まめに手洗いなどする,3密を避けるは,男性よりも女性の平均値が高かった.これは,前述のJTB(2020)の調査と類似していた.

2020年2月以降の情報へのアクセスとして,旅行のテレビ番組を見るは全体が61.6%で,20代が44.3%とやや少なかった.旅行に関するビデオを見るは全体で5.9%と少ない.旅行のガイドブックを見るは全体では28.9%であったが,20代は34.1%とどの年代よりも多かった.SNS等で旅行プログラムを見る,は20代の38.6%が最も多く,30代は27.3%,40代19.3%,50代20.5%,60代6.8%であった.オンラインツアーに参加するも,全体で3.6%と少なかったが,20代が最も多く9.1%であった.

表1 対象者プロフィール

過去5年間で経験した旅行のスタイル(複数回答)を聞いたところ,「大都市観光」が45.4%,「有名観光地の訪問」64.5%,「テーマパーク等のレジャー施設利用」が46.4%,「温泉地」68.6%,「田舎・農村等」は21.4%であった.この旅行スタイルと,情報アクセスとのクロス集計で「大都市観光」「有名観光地」グループは,旅行のテレビ番組,ビデオ,ガイドブックを見ると,3項目ともカイ二乗検定が有意であった.「テーマパーク等」と「田舎・農村等」グループは,ガイドブックを見る,「温泉地」は,旅行のテレビ番組を見る,ガイドブックを見るが有意であった.

仮説モデルの検証

AMOSによる共分散構造モデリングにより,仮説の検証を行った.表2は仮説モデルの検証で,各潜在変数からのパスの指標を示している.

検証の結果,表2に提示するようにポジティブ感情から行動意図へのパスが非有意となったが,それ以外のパスは有意であった.モデルの適合度は,カイ2乗= 154.96,自由度65,p値=.000,GFI=.952,AGFI=.922,CFI=.971 AIC= 234.96 RMR=.156,RMSEA=.056であった.

表2 仮説モデルの検証結果

そこで仮説モデルの,非有意となったパス;ポジティブな感情⇒行動意図 を削除した結果,モデルの適合度は,カイ2乗=155.004,自由度66,p値=.000,GFI=.952,AGFI=.923,CFI=.971,AIC=233.004  RMR=.156 ,RMSEA=.055となった(図3).

図3 仮説モデルの修正後  

消費者行動を予測する

調査の結果からいくつかのカテゴリごとに図3のモデルで多母集団の同時分析を行った.但し,パスが非有意になった場合は修正した(表3).

表3 多母集団同時分析結果

 まず,それぞれのモデルの直接効果と間接効果を比較する(表4)

表4 行動意図への直接効果及び間接効果一覧

性別では,男性も女性も予想されるネガティブな感情から家族や友人等の理解を得て行動に移そうというプロセスが見られた.行動意図に影響する予想されるネガティブな感情は男性の方が高く,一方,周囲からの理解を得ようとする主観的規範は,女性の方が高かった.情報の影響は男性の方が高く,ポジティブな感情を媒介変数としてリスク回避行動へ,主観的規範を媒介して行動意図へ,行動制御を媒介として行動意図へ影響していた.このことから男性の方が情報関与は高く,行動に影響を受ける可能性が高いと考える.

年代別で20代は,情報の影響を受けポジティブな感情が媒介して行動意図に影響していた.このことは旅行へ行く可能性が高い傾向であると考える.これは20代だけの傾向であった.周囲の理解を得ることで行動制御を媒介し,行動意図に影響するプロセスが見られた.リスク回避行動は無しであった.情報の影響が強くみられることから,最も情報に行動が影響されるのが特徴である.30代になると予想されるネガティブな感情から,周囲の理解を得て行動を起こそうとするようである.また,予想されるネガティブ感情の影響から予想されるポジティブな感情が媒介してリスク回避行動へ影響していた.情報の影響はポジティブな感情のみで,それ以外はなかった.40代は,情報関与の無いモデルであった.それぞれのパスが行動意図へ影響を及ぼす因果関係であるが,周囲の理解を得て行動を起こそうとしていると思われる.50代も情報関与の無いモデルで,ネガティブな感情がポジティブな感情を媒介してリスク回避行動へ影響していた.この年代も周囲の理解を得て行動をすると思われる.60代以上も50代同様のモデルであったが,違いは,情報の影響を受けていたことである.間接効果から近いうちに旅行に時間とお金を使うことに対して負の影響が見られたことや,予想されるネガティブ感情の行動意図への影響はどの年代よりも大きい.各年代を比較すると20代が最も旅行に行く可能性が高いと思われる.

過去の旅行スタイルの経験を大都市観光,有名観光地訪問,テーマパークなどのレジャー施設の利用,温泉地,田舎・農村地域訪問のグループごとのモデルを比較した.大都市観光と有名観光地グループは,それぞれ似通っており,修正済の仮説モデルとほぼ同様であった.テーマパークのグループが,最も情報の影響を受けていた.これは20代の影響ではないかと思われる.特徴的だったのは,田舎・農村のモデルで,予想されるネガティブ感情がどのグループよりも行動意図へ影響していたことや,社会的プレッシャーの影響は無かったことから,このグループは,あまり周囲を気にせずに旅行に行く可能性が高いように思われる.このカテゴリでは,20代から60代以上迄各年代で約20%が参加の経験があり,こういった旅のスタイルを選ぶグループでは,リスク回避行動には情報収集するが行動に関しては,独自性を好む傾向かもしれない.

このことは,目的地がいわゆる人が多く集積するところではなく,独自に目的地選択を行っているのではないだろうか.

以上のことから,女性よりも男性,20代,田舎や農村グループが旅行行動に繋がる傾向が高いと予測される.また,地方への旅行に行く可能性が高いことは,今後の観光地にとってあらたな可能性が開けていると思われる.

まとめ

本研究では,2020年初頭から発生したCOVID-19による旅行への影響が消費者行動にどのような影響を及ぼすかを中心に予測した.

この調査の結果から国内旅行に行くという行動の先行要件である行動意図には,予測されるポジティブな感情,予測されるネガティブな感情,主観的規範,知覚された行動制御が影響するこれまでの理論が検証された.そして新たに感情が行動意図へも直接影響することが明らかになった.日本では,世間体という周囲の意見を気にすることから予想されるネガティブ感情から主観的規範を媒介として行動意図への影響がみられた.今回追加した潜在変数「リスク回避行動」は,一定の影響があった.また,情報の影響もさまざまな影響があったことは,今後の観光地のマーケティング戦略のプロモーションの参考になるのではないかと思われる.特に自宅で自粛生活が始まって以降の旅のテレビ番組やビデオ,SNS等に加えてガイドブックなどの媒体への接触はデジタルだけでなく紙媒体も重要であることを気づかせてくれた.

残された課題

今回は,COVID-19パンデミックという嘗て無い状況下における旅行の行動を予測するという調査であった.調査時期は,感染が少し落ち着いていると思われた時期であったが,結果的にはネガティブな感情が行動意図に影響したり,リスク回避行動が喚起されたりした.このことは,平常時においてもリスクを感じるサービス製品に対する消費者の不安感を反映したものと思われる.また,消費者の意思決定に及ぼす感情の役割を明らかにした.これまでの先行研究では,消費者の倫理的意思決定プロセスの各段階で予想されるポジティブおよびネガティブな感情の影響(Escadasら 2019),社会的規範と感情(Sirieixら2017),感情と経済的トレードオフ(Cryderら2008)など研究が積み重ねられているが,基本的な感情と比較して,自己意識的な感情(SCE –プライド,罪悪感,恥ずかしさ,恥)に特化した研究はあまり注目されていない(Gregory- Smithら2013).

今後は,旅行という快楽的な消費行動と公衆衛生とのパラドックスに対応する規範と感情といった先行研究を深める必要がある.実務的には情報の重要性が明らかになったことから観光地は安全であることのメッセージの発信やSNS等だけでなくきめ細かく広く媒体を使ったPRも要求される.都市から離れた目的地は,リピーターや会員組織などへの働きかけにより信頼できる情報を共有することも有効であろう.

今回は,インターネットによる調査を実施したが,尺度は和訳をしたものであったことから十分でない箇所も見られた.今後尺度開発も課題となったことからさらに改善を行っていく.また,世帯収入に関しては回答率がやや落ちたことから収入別の分析はできなかった.現在,2回目の緊急事態宣言が首都圏にだされ,消費者心理が冷え込むことが予想される.1日も早く,解除され日常が戻ること祈りたい.

謝意

本研究の執筆に際し,関西学院大学大学院教授山本昭二先生にご指導,ご助言をいただきました. 心より感謝申し上げます.また,日本の「最も美しい村」連合事務局の皆様にもご支援いただきました.ここに御礼を申し上げます.本研究はJSPS科研費 17K02059の助成を受けたものです.

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著者紹介

国枝よしみ

大阪成蹊大学副学長・経営学部教授. 日本航空,同社系列ホテルを経て,公募により奈良県幹部職員を歴任.2007年大阪成蹊短期大学准教授,2012年同教授,2015年副学長,2017年より現職.

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