現在のCOVID-19の拡大の状況において,世界の社会・経済が過去に経験したことのない難局に直面しております.

一人でも多くの命を助けようと最大限の貢献をされておられる医療従事者の方々に学会を代表して心よりの感謝を述べさせていただきたいと思います.

交通・運輸に携わる方々,福祉に携わる方々,小売りなど生活関連サービスに係る方々,など感染のリスクの中においても我々の社会を維持していくために活動を続けておられる方々にも厚く感謝の意を表したいと思います.

今回の緊急事態に於いて,サービスが如何に我々の社会に広くいきわたり,我々の生活がサービスに依存しているのかが一層鮮明になりました.我々の命と健康を守るための社会機能として,日々の生活を支えるインフラとして,如何にサービスが重要であるのかが痛いほど再確認されました.

あるいはまた,日々の潤いと生きがいを与えていただける宿泊・飲食サービスをはじめとする様々なサービス業がビジネスの継続や雇用の確保が難しくなっていることにより社会・経済への多大な影響を与えていることは,サービス産業の役割の大きさを改めて示す事になりました.

サービス学会は,サービスにおける問題の解決と新たなイノベーションの実現における学術的・実務的な貢献を目指す研究者・実践者の集まりでありますが,サービス産業に過剰な負荷がかかっている状況,そしてサービス産業が疲弊している状況においてどのような役割を担えるのか,どのような貢献ができるのかを,真剣に議論してまいりました.

その結果得られた取り組みの一つとして,現状の生の声の収集・蓄積・分析とその結果の一般公開を行う事としました.今回,サービス学会Webマガジンで緊急特集する「COVID-19拡大の影響下におけるサービス産業」がこれにあたります.

皆様方のサービス産業では非常に困難な状況が続いていますが,自分の業種以外のサービス産業の現状,対応,生き抜く知恵などの情報の共有が,社会が一丸となってこの難局を乗り切るために,少しでもお役に立てればと思います.

この現状を乗り越え,さらに,もとの全く同じ世界に戻るのではなく困難を乗り越えた先にあるより一層幸福な社会を築くために,学会員各々の立場から全力で取り込む所存です.

サービス学会員の皆さまへ:
日本においては感染の拡大を抑止する唯一無二の手段として,国民の自粛による協力が求められています.
協力は共創です.我々の現代社会における人と組織の関係性の基本となるものがサービス研究の中核概念の一つである共創であることが,この困難な状況において図らずも再認識された事になります.サービス研究を推進する我々の学会は,今回のCOVID-19拡大による緊急事態を受けてサービス産業が多大な影響を被る中,その真価が問われていると思います.あるいはまた,アフターコロナの世界は,どのようなものであるかと予測するものではなく,どのようにすべきかを創造的に考え,実践していくものだと思います.今回の緊急特集を皮切りに,皆で力を合わせ,社会に貢献しましょう.

令和2年5月 緊急事態宣言下において
サービス学会会長
日髙一義

おすすめの記事