コラム サービス学と実践 伝統技術を生かした自然循環・エコシステム作り(1): 造船技術の利活用によるソーシャルインパクトの追求 - 上杉正章 2023年1月26日 造船の町である広島県尾道市因島へ本社をかまえる株式会社トロムソは,2006年に設立されました.地場産業である造船の技術を陸で活用できないかと模索し,もみ殻固形燃料製造装置「グラインドミル」を開発して以来,国内の農家向けに,それまで廃棄物とみなされていたもみ殻の再利用を推進する事業を進めてきました.ここで培った技術とノウ...
コラム ソーシャルインパクトサービス学と実践 伝統技術を生かした自然循環・エコシステム作り(2): 造船技術の利活用によるソーシャルインパクトの追求 - 星田剛 2023年1月26日 穏やかな内海に面する広島県は,長崎県とともに日本の船舶輸出の主力を担う造船の地であり,造船は戦前から地域の基幹産業であった.日本の造船業は1980年代には世界シェアの50%超を占めるガリバー産業であった.しかし,その生産量は2000年には韓国,2009年には中国に抜かれ,現在世界第3位の位置にある.このように日本の産業...
コラム サービスデザインサービス学と実践 AI研究者の見るサービス(3):デザイン,あるいは構成の方法論 - 中島秀之 2023年1月6日 今回は,サービスをいかにして創り上げて行くのかという,サービスのデザインをテーマとしたい.デザインはサービスに限らずほとんどの構成プロセス*1につきものであるので,一般的な構成の方法論として定式化する. 分析と構成 先日,日本学士院の勉強会でAIの話題提供をした後の質問で,吉川弘之さんが自然科学などの分析手法はきれいに...
コラム デジタル化サービス学と実践 AI研究者の見るサービス(2):RISTEXで実現したSmart Access Vehicle Service - 中島秀之 2022年11月9日 前回紹介したRISTEXの枠組みで我々*1が実装した新しい公共交通モデルSmart Access Vehicle Service (SAVS) について語りたい. 交通に関してはMaaS (Mobility as a Service) という用語*2が提案され,近年盛んに使われるようになった.これは既存の様々なモビリテ...
コラム サービス学と実践 AI研究者の見るサービス(1):サービスへの道程 - 中島秀之 2022年9月1日 サービソロジーのコラムを担当することになった.第一回は私のサービス学との出会いやサービス学会設立当時の情景などを描ければと考えている.なお,せっかくのデジタル版であるので,参考資料などへのリンクは極力張っておく. 最近でこそ,さまざまな場面で「サービス」*1が使われ,違和感がなくなっているが,サービス学会の創設時には「...
コラム サービス学と実践サービス理論 ムラカミロジー(6):サービスドミナント・ロジックの逆襲 - 村上輝康 2022年8月24日 マーケティングの異端と正系 サービスドミナント・ロジック(SDL)の概念が,マーケティングの分野で,いわゆるクオリティペーパーでとりあげられるまでには,10年近くの歳月がかかり,論文の形になってからでも5年近くかかったというのは,サービソロジーのコミュニティの中では良く知られている神話である.その概念はあまりに革新的,...
コラム サービス学と実践サービス理論 ムラカミロジー(5):「サービソロジー・ネイティブ」の誕生 - 村上輝康 2022年3月29日 「サービソロジー・ネイティブ」の発見 東京大学伊藤国際学術研究センターとオンラインのハイブリッド形式で,サービス学会の第10回の国内大会が3月7日から3日間にわたって賑々しく開催された.サービス学会創設10周年の記念ということで,大会3日目には,水流大会実行委員長の下,学会初の産学官が参加する一般公開プログラムが開催さ...
コラム サービス学と実践サービス理論 金属加工企業のサービス化への挑戦(2):キャステムのサービス化プロセス-星田剛 2021年11月19日 前編で紹介した精密鋳造技術により,株式会社キャステムはアルミ,銅合金,特殊鋼,プラスティックと様々な材質を複雑な形状,かつ高い寸法精度と美しい鋳肌に仕上げる工法を身に付けた.また粉末状の金属粉とバインダーを混ぜ合わせ,目的の形状の金属部品を製作する製法など先進技術により,医療機器部品,産業用自動機部品,半導体関連部品な...
コラム サービス学と実践 金属加工企業のサービス化への挑戦(1):“作ること”と“伝えること” -戸田有紀 2021年11月19日 株式会社キャステムは1970年創業の鋳造(ロストワックス精密鋳造)と焼結(金属粉末射出成形),2つの製造技術をメインとした金属部品製造会社です. 元々は同じ広島県福山市にあるマルト製菓株式会社というお菓子屋の製造部で,お菓子を作る機械も当時自社開発していました.そこでロストワックス製法*1を始め,やがて時代の流れととも...
コラム サービス学と実践サービス理論 ムラカミロジー(4):価値共創のサービスイノベーションの実践 - 村上 輝康 2021年11月1日 コロナ第2波と第3波の間隙をついて昨年10月に開催された第3回の日本サービス大賞の表彰式と重なる形で,この「サービス学と実践」というコラムが「ムラカミロジー」としてスタートしてもう一年である.一年後の2021年10月に,日本サービス大賞の主要受賞企業17社のオリジナルな事例分析を縦糸とし,それにサービソロジーの現場で用...