コラム サービス学と実践サービス理論 ムラカミロジー(6):サービスドミナント・ロジックの逆襲 - 村上輝康 2022年8月24日 マーケティングの異端と正系 サービスドミナント・ロジック(SDL)の概念が,マーケティングの分野で,いわゆるクオリティペーパーでとりあげられるまでには,10年近くの歳月がかかり,論文の形になってからでも5年近くかかったというのは,サービソロジーのコミュニティの中では良く知られている神話である.その概念はあまりに革新的,...
特集記事 製造業のサービス化 フロントステージとバックステージの連携〜宇宙産業創出に向けた共創活動〜―高田 真一 2022年7月5日 はじめに 本稿は,宇宙空間における新たな産業創出を目指す民間企業と,国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共創活動に焦点を当てる.JAXAは,公的研究開発機関であり,本共創活動において,国の政策に基づき研究開発を先導し,その成果を民間の事業創出に活用する.モルガン・スタンレー社によると,宇宙産業は成長領域...
特集記事 新しい時代のホスピタリティ 特集「新しい時代のホスピタリティ」を終えて―丹野愼太郎/平本 毅/増田 央/中村 聡太 2022年6月27日 “社会が大きく変化する流れの中で,ホスピタリティの捉え方はどのように変化するのか,しないのか.また,この点をサービス提供者と受容者,あるいは社会の視点で観ると何が異なるのか.” 本特集「新しい時代のホスピタリティ」を始めるにあたり,我々が最も意識した点だ.日本のコロナウイルス感染症COVID-19(以下,COVID-1...
特集記事 新しい時代のホスピタリティ 「大切なことは変わらない」~新しい時代のホスピタリティ~―中村聡太 2022年5月13日 はじめに 「会うって,特別だったんだ」.2022年1月より某鉄道会社が打ち出している広告キャッチコピーである.コロナウイルス感染症COVID-19(以下,コロナと言う)は私たちのくらしを一変させた.この広告キャッチコピーはその変化を象徴するフレーズの一つである.コロナ禍の2年で私たちのくらしは大きく変化した.振り返ると...
特集記事 多様なコミュニケーション 障害者と共創するインクルーシブデザインの実践―タキザワケイタ/小早川真衣子 2022年5月13日 はじめに 昨今の新型コロナウィルス感染症の流行による社会的な制約を受ける状況下で,私たちはこれまで当たり前と思っていた自分たちのコミュニケーションおよびその手段の問い直しを迫られてきた.その結果,これまで手段と思っていなかったツールや技術に手を延ばし,そこに新たなコミュニケーションのかたちの可能性を見出している.特に興...
特集記事 製造業のサービス化 事例研究:林業におけるサービス化を通じたケイパビリティ統合-大黒柱一本から生まれるサービスエコシステムの拡大-―西川義寛/内平直志 2022年4月28日 はじめに 筆者の1人が勤める古河林業株式会社は,明治8年に林業を祖業とし創設され,その後,プレカット工場を含む住宅業の展開を通じ,森林にかかる六次産業化を遂げてきた.しかしながら従来,山林,プレカット工場,注文住宅の各事業部門は個別運営感が強く,原材料部門を有している強みが十分に発揮されてきたとは言い難かった.本稿では...
特集記事 新しい時代のホスピタリティ インタビュー記事:老舗旅館におけるホスピタリティの新たな試み―小野雅世/増田央 2022年3月30日 綿善旅館に関わられることになった背景およびこれまでの取り組み 増田 小野雅世様が若おかみ(インタビュー時点*1.2021年12月10日から,おかみへ)として綿善旅館に関わられることになった背景やこれまでの取り組みについて教えてください. 小野 綿善旅館に関わることになった背景としては,ここが実家だからということです.た...
コラム サービス学と実践サービス理論 ムラカミロジー(5):「サービソロジー・ネイティブ」の誕生 - 村上輝康 2022年3月29日 「サービソロジー・ネイティブ」の発見 東京大学伊藤国際学術研究センターとオンラインのハイブリッド形式で,サービス学会の第10回の国内大会が3月7日から3日間にわたって賑々しく開催された.サービス学会創設10周年の記念ということで,大会3日目には,水流大会実行委員長の下,学会初の産学官が参加する一般公開プログラムが開催さ...
特集記事 新しい時代のホスピタリティ 観光業におけるポストパンデミック時代のホスピタリティ~リスクを前提としたサービスを地域はどう伝えるか~―寺山 元 2022年3月18日 はじめに 観光産業は,新型コロナウイルスのパンデミックによる影響を最も大きく受けた産業の一つである.移動と交流は旅の本質であり魅力であるが,それらが感染症対策においては全て「リスク」となり,観光産業は沈黙せざるを得なかった.近年の日本では少子高齢化,人口減少の大きな潮流から,外貨を獲得する産業としてインバウンド観光の拡...
特集記事 地方の活性化 地域活性化とテレワーク―中西穂高 2022年3月15日 はじめに 「テレワーク」は,語義的には「テレ(遠隔)」で働く(ワークする)ことであるが,政府等ではより具体的に,「テレワークとは,情報通信技術を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」(厚生労働省)と定義している.すなわちテレワークは,近年の情報通信環境の高度化に伴う労働サービスの提供方法の一つの形態であると...